コメディのいいところと、青春映画のいいところをギュッと詰め込んだ、後味の良い秀作。
高校卒業を翌日に控えた、がり勉女子高生・モリ-とエイミーの2人が、勉強ばかりしてきた高校生活の忘れ物を取りに行く物語。
遊んでばかりいるように見えた、やんちゃな同級生たちが皆、良い大学、良い就職先に進むことを知り、慌てて、自分たちがこれまでしてこなかった「遊ぶこと」にトライすべく、卒業祝いのパーティに行くことを決意するのだ。
ただパーティに行くだけなのだけれど、そこに至るまでのすったもんだが、とにかくおもしろい。そして、パーティにたどり着いてから巻き起こる、さまざまなハプニングにも目が離せない。
この映画、主人公の2人をはじめ、登場人物全員のキャラクターがたちまくっているのが、すごくいい。
エンドロールで次々に登場人物が紹介されるたびに、この子おもしろかったなぁとか、この子かわいかったなぁとか、いちいち振り返って心の中で称賛したもの。
それぞれのキャラクターの言動や行動は、ちょっとやり過ぎなくらいなのだけれど、それによって記憶にしっかり刻まれるし、キャラクターを愛おしく思うことができた。
なかでも、富豪の娘・ジジが最高だった。神出鬼没で、クレイジーで、突き抜けていて、不思議ちゃんで。彼女が出るシーン出るシーン、まわりからもクスクスと笑い声が聞こえてくるほど。
これはきっと、演出のなせる業なのかなと。監督のオリヴィア・ワイルドは、女優で、今作が初監督作品らしいのだけれど、演者を活かす術を知っているのかなと思った。すごく才能を感じる。
また、特筆すべきは、主人公が女子高生2人組だということ。 高校生のうちに、やんちゃをしておこうとか、異性と関係をもっておこうとか、そういうテーマって、男の子を主人公に描かれがちな気がしていて。
わかりやすく言えば、「童貞を捨てよう!」みたいな物語。
でも、ここに女の子を持ってくるところが(しかも片方は同性愛者をカミングアウトしていて、好きな女の子までいるという設定。女の子同士の絡みのシーンまである)、女性監督ならではという感じがした。
今まで見ることができなかった、女性視点で描かれた映画が、これからどんどん増えていくといいな。
そして、劇中で使われている楽曲が、どれもこれもかっこいい。ヒップホップ、R&Bが中心で、映画を見ながらリズムをとったのは初めてかも。頭を振りたくて仕方なかったけど、我慢した。
公式WEBサイトに、プレイリストが紹介されているので、ぜひどうぞ。
卒業前夜に大きな豪邸でパーティをするとか、友人同士でセックスに関する話題をオープンにするとか、人前で堂々とチュッチュしちゃうとか。
そういう、日本にはない、アメリカの若者らしい文化を目の当たりにできたのも、新鮮で良かった。
(後日、アメリカに留学していた学生にインタビューする機会があり、「毎週末、いろんなパーティに出て友達の輪を広げた」という話を聞いたのだが、完全にこの映画のパーティシーンが浮かんで、なかなか刺激が強い場所に出向いていたのね、と思ったよ)
「コメディ×青春」、このかけ合わせはすごくいいけど、日本でこの映画をリメイクするのは不可能だろうなぁ。
日本でやったら、何のぶっちゃけ感も、過激さもない、つまんない作品になるに決まってる。邦画にはない、洋画の良さをこの映画で再認識。
あーあー、一度でいいから、アメリカで高校生やってみたかったなー!!!