夏の下北半島 2日間で400kmドライブの旅
あれは、およそ1年前のこと。私のちょっと変わった友人Y子が、突然「ここに行ってみたい」と、恐山の写真を送りつけてきた。
私のなかで、恐山と言えば、「あなたの知らない世界」。昔、みのもんたが司会のお昼の番組で、お盆の期間だけやっていた怪談コーナーなのだが、そのオープニング映像が、恐山の風景なのだ。
蒸気が立ち込める殺風景な岩山で、風車が静かにまわっている。子ども心に、とても怖かったのを覚えている。
怖いもの見たさで、「私も機会があったら行ってみたいから、もし行くなら、その時は誘ってよ」。そう返信したところ、「来月、どう?」とのこと。「急だな!」と思いつつ、そういうの、嫌いじゃない私は、「OK!」と即レスした。
そんなわけで、急きょ決まった、恐山への旅。2019年7月、我々は一路、本島最西端の地へ、赴いた。
恐山は、青森県の下北半島にある。右上の、カギみたいに出っ張っている部分だ。かの有名な津軽海峡を渡ったら、そこはもう、北海道。
こんな本島の最西端へ行くのに、我々の旅は、1泊2日。眠い目をこすりながら、始発の東北新幹線に乗ったのだった。
10時前に八戸駅で新幹線を降り、駅前のレンタカー店へ。そこから車で、恐山へ向かう。
2時間半ほど走ると、さすがにお腹が空いてきた。むつ市の「下北名産センター」で、ホタテ&いくら丼にありつく。新鮮で、とっても美味しかった!
腹が満たされた私たちは、そこからさらに1時間半ほど車を走らせ、いざ恐山へ。
ほど近い場所に、「恐山冷水」なるものを発見。寿命が延びると有名な水とのことで、路肩に車を止め、手ですくって飲んだ。
水を汲むものを持って来ればよかった。
そして、いよいよ到着!日本三大霊山・恐山!「テレビで見たのと同じだ!」と感激。
今にも雨が降り出しそうな曇天っていうのがまた、雰囲気を盛り上げて、いい感じ。
周囲には、硫黄の匂いが立ち込め、そこらじゅうから蒸気が上がっている。
風車は、幼い子どもの例をなぐさめるためのものらしい。水子供養の堂のほか、卒塔婆や地蔵などがたくさん並んでいる。
大きな湖?池?があり、そのほとりは「極楽浜」と名づけられていた。
ぐるっと歩いてまわって、30~40分。
そして、我々は事前に調べていた、恐山内の温泉に立ち寄ることに。
温泉は、なかなか渋い小屋の中にある。洗い場はなくて、湯船が2つだけ。
私たちの前に入っていたおばあちゃん2人組がもう上がるところだったので、思いがけず、貸切で浸かることできた。
お湯は熱々で、長くは入っていられなかったけど、気持ちよかった!恐山に行くなら、ぜひタオルを持参して。
そしてそこから、また1時間ほど車を走らせて、別の温泉へ。秘境っぽい屋外の無料温泉に向かったのだが、男性と女性の入浴時間が入れ替え制になっており、我々がついた時間は、男性の時間…。
涙を飲んで別の温泉をリサーチし、向かってみた。
たどり着いたのは、「奥薬研温泉 夫婦かっぱの湯」。
無料ではなかったけど、230円と格安だったし、時間が遅かったからか、これまた貸切で、ラッキー!ここも洗い場はなくて、浸かるだけ。気持ちの良い露天風呂で、リラックス。
そこから、宿泊先である、むつ市街のビジネスホテルへ。寝るだけだから、宿にはこだわらず。1泊4000円とかだったと思う。
夕食は、ホテルから歩いて行ける居酒屋へ。むつ市、飲み屋街がかなり私好みで、テンションが上がった!
名物の貝焼きや、ほやを肴に地酒を飲むなどし、2軒はしご。後ろ髪ひかれたが、翌日にもお楽しみが待っていたので、早々と就寝。
2日目。朝8時にホテルを出発し。海沿いを走る。
青森の海にキレイなイメージはまったくなかったけど、青くて、美しくて、運転が気持ちよかった!
せっかくだからと、立ち寄ることにした、日本最西端の地、大間。マグロがお出迎え。
そして、やってきました、本日のメインイベント。佐井港から観光船に乗り込む。
(8時に出たのに、出発時間の10時半ギリギリになってしまい焦った…。)
いざ、仏ヶ浦へ!
仏ヶ浦は、「船で行ける極楽浄土」という触れ込みの、下北半島国定公園(すごいキャッチコピーだよね)。
観光遊覧船のWEBサイトには、
「日本の秘境百選にも選ばれている絶景スポットで、娯楽浄土を思わせる神秘的な世界が広がっています。長年の風雨と波によって削られた巨岩群の圧倒的スケールはまさに圧巻」
と書かれている。
※観光遊覧船は、要予約。
船から見る海はとってもキレイだし、大きな岩々はすごい迫力だし、人が少なくて静かだし、本当にいいところだった。
ここは、みんなにオススメしたいし、また行きたい。
楽しい旅ももう終わり。ここから4~5時間車を走らせて八戸へ戻り、17時台の新幹線で、東京へ。
レンタカーの表示を見たら、たった2日間なのに、走行距離が400kmを超えており、びっくり!
途中、頑張って運転した自分へのご褒美に、3000円超えのウニ丼を食した。染みた…!
遠いし、慌ただしかったけれど、美しくて、食べ物が美味しい下北半島が大好きになった。梅雨が明け、自粛が明け、世界に平和が訪れたら、少し足を延ばしてどこかに行きたいと思っている人に、イチオシしたい。
ひとりではここに来ようとは、思わなかっただろうから、きっかけをくれたY子に感謝。次は最低2泊はして、ゆっくりしたいなー!